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2025年01月10日

経営者保証ガイドラインとは?その目的と実務への影響


経営者保証ガイドラインは、企業の融資において経営者が個人保証を提供する際の適正な取扱いや基準を定めた指針で、特に中小企業における負担軽減を目的として作成されたものです。このガイドラインは、融資を受ける際の経営者個人のリスクを適切に評価し、過度な保証を避けるための指針を提供することを目指しています。以下では、このガイドラインの内容、目的、及び実務における影響について詳述します。

1. 経営者保証の問題点
経営者保証とは、企業が融資を受ける際に、経営者が自らの個人資産をもって企業の借入に対する責任を負うことです。この保証は、中小企業が信用力を向上させ、融資を受けやすくするために一般的に行われていますが、その反面、経営者個人に過度なリスクを負わせることになり、経営者自身の生活や事業運営に重大な影響を及ぼす可能性があります。

例えば、企業が経営不振に陥った場合、経営者は企業の借金を返済するために自己資産を差し押さえられることがあります。このようなリスクが過度に存在することで、経営者は新たな事業展開や経営改革に消極的になり、結果として企業の成長を妨げることがあります。

2. 経営者保証ガイドラインの概要
経営者保証ガイドラインは、2014年に日本銀行、経済産業省、金融庁などの関係機関が中心となり策定されました。主な目的は、経営者の個人保証を過度に求めず、企業の経営資源や事業内容に応じた適正な保証を求めることです。具体的には以下の要点が示されています。

(1) 経営者保証の必要性の精査
ガイドラインでは、融資を行う際に経営者保証が本当に必要かどうかを精査することが求められています。金融機関は、企業の信用力や事業内容、経営者の意図を踏まえて、保証の必要性を適切に判断しなければなりません。特に企業のキャッシュフローや担保状況、過去の業績に基づいた評価が重要となります。

(2) 適正な保証額の設定
経営者保証を求める場合でも、その額は企業の規模や業績に見合ったものであるべきです。過度に高額な保証を求めることは、経営者に不必要な負担をかけ、企業の成長を妨げることになります。そのため、保証額を企業の実態に即して適正に設定することが求められます。

(3) 経営者の再建計画に配慮
経営者が保証を提供する際には、企業が経営改善のために必要な再建計画を立て、その計画が実行可能であることを金融機関が確認することが求められます。特に経営者が保証を提供する理由が「経営改善のため」である場合、その後の事業運営に支障をきたさないように、再建計画に基づいた支援が行われることが重要です。

(4) 経営者保証の解除条件の明確化
一度提供された経営者保証を解除する条件もガイドラインにおいて重要なポイントです。企業の経営が安定した場合、経営者保証を解除するための条件を明確に定め、経営者が過度な負担を長期間にわたり背負わないよう配慮することが求められます。

3. ガイドラインの適用範囲
このガイドラインは、主に中小企業の融資に関するもので、特に個人保証の取扱いに焦点を当てています。中小企業は、大企業に比べて自己資本が少ないため、融資を受ける際に経営者保証が求められることが多いですが、その負担が経営者に過度な影響を及ぼさないようにするための指針です。

また、ガイドラインは、金融機関に対しても適用され、融資の際に経営者保証を求める場合はその正当性を十分に検討し、過度な負担をかけないようにすることが求められます。このような取組みを通じて、融資を受けやすくする一方で、経営者のリスクを減らすことが狙いです。

4. 実務への影響
経営者保証ガイドラインが実務に与える影響は大きいです。まず、金融機関は融資判断においてより慎重に経営者保証の必要性を検討することが求められるようになります。従来のように、安易に経営者保証を求めることは避けられるようになり、より合理的な保証額の設定が求められます。

また、中小企業側にとっても、経営者保証に関する透明性が高まることで、経営者のリスクが明確化され、事業運営に対する安心感が増す可能性があります。さらに、経営者保証が過度に設定されていた場合には、見直しを求めることができるようになり、より公平な融資契約が実現することが期待されます。

5. 今後の課題
経営者保証ガイドラインは、中小企業の支援を目的として作成されたものである一方で、ガイドラインの適用が徹底されることが課題となります。特に、金融機関がガイドラインに基づいた融資判断を行わない場合や、依然として経営者保証を強く求める場合には、実効性が問われることとなります。今後は、ガイドラインをさらに効果的に運用するための取り組みが求められるでしょう。

また、ガイドラインが適用される範囲が中小企業に限られているため、大企業や新興企業などが直面する課題についても検討が必要です。特にベンチャー企業などは、経営者保証の取り決めにおいて独自の配慮が必要となるため、さらに柔軟なアプローチが求められることが予想されます。

結論
経営者保証ガイドラインは、中小企業の経営者に対する過度なリスクを避け、健全な融資環境を提供することを目的として策定された重要な指針です。ガイドラインが実務に浸透することで、経営者の負担軽減が期待され、企業の成長を支えるための助けとなることが期待されます。
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